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ビジネス本・金融本感想文

おすすめビジネス本・金融本をご紹介

夢をかなえるゾウ 水野敬也

心理学本

本作の著者である水野敬也さんは処女作の「ウケる技術」を2003年に出版し30万部超えのベストセラーになった後、三作目である著書「夢をかなえるゾウ」を2007年に出版しました。本作は200万部を超えるミリオンセラーになりました。

またこちらの作品は2008年には小栗旬さん、水川あさみさんを主演としたドラマにもなっています。

今回ご紹介する本、「夢をかなえるゾウ」はいわゆる、自己啓発系の成功体験を紹介する本なのですが、普通に著者の言葉でどのような成功体験を書いているのではなく、どこにでもいるようなうだつの上がらないサラリーマンである「僕」と「ガネーシャ」による面白おかしい物語として書かれています。

「ガネーシャ」とは象の姿をしたインドの神様の事です。ある日「僕」は会社の先輩の友人であるカワシマという男が開いたパーティーに出席しました。

そこで有名人やアイドルの友達が談笑しているのを目の当たりにし、自分の住んでいる世界との差を体験しました。その夜、彼は泥酔したままインド旅行で買った置き物に「人生を変えたい」と泣き叫ぶと、次の朝、枕元に関西弁を話す謎の生物が「僕」に見える形だけで現れます。「僕」はガネーシャに振り回されながらも、夢を成すためにガネーシャの課題を行うことになります。

「ガネーシャ」は毎日1つづつ、「僕」に成功するための法則を伝授していきます。まずは「靴を磨く」から。最初はハードルの低いものから始まり、徐々に難しいものになっていきます。

このような提示のしかたをしてくれると、ワンステップずつまずは自分のできることから進めるので、自分でも取り組めるような気にさせてくれます。
また、毎回、法則を伝授する際にはそれを実行した過去の偉人の具体例(松下幸之助やアイザック・ニュートン)を出してくれるので、容易に理解できるような内容で構成されています。
本書の中で「ガネーシャ」によると、この過去の偉人達はすべて自分が育ててあげた人たちだそうです。松下幸之助さんのことは「幸ちゃん」と称していたりフランクなニュアンスで読者にとって読みやすいようになってます。

しかもこちらの「ガネーシャ」は、なぜか関西弁しかも、タバコを嗜み、加えて「あんみつ」が大好物という設定になってます。

成功本を読んでも人は成功しない

まず、この本が良い点は「成功本を読んでも人は成功しない」と如実に語っている点です。

誰しも成功本を読んだ時点では、やる気満々、興奮して「今度こそ自分は変われる!」と思うのですが、日が経つにつれすべて忘れて、結局は普段の生活に戻っていきます。本作に登場する「僕」もまさにそうでした。過去に買った本を読んでは忘れることを繰り返し、成功しない日々を送ってきていました。これは、多くの方に当てはまることだと思います。

ビジネスの基本とは何でしょうか。営業マンならモノが売れることがビジネスになります。サービスマンなら故障したモノを直してビジネスです。研究者なら研究して発表することが何らかのビジネスにつながってきます。しかしその前にあるものはまず「人」です。「人」が何かを望む、それに誠実に応えようとすることがめぐりめぐってビジネスにつながる。「人」対「人」からビジネスが生まれてくるのです。

また人はそんなにたやすく変われるものではありません。

本作の「僕」のように三日坊主という形で、人は楽なほうへ流れていくものです。まず「靴を磨く」という訓示があります。そのような簡単なことだけでは「成功する自分」に変われるわけがないのとわかります。しかし実際にやってみると「少しだけ気持ちがすっきりする」という経験ができます。今までやらないためのいいわけはいくらでもできたが、とにかく一歩は前進したという気持ちになります。

ジョン・ロックフェラーやカーネル・サンダースなどの各界の大物や歴史上の人物の逸話(計24名)も知ることができます。本作の中では「人」が「人」を理解できて初めてビジネスにつながっていき、彼らがいかに成功していったかという話が語られています。
また、ガネーシャから出された課題(「靴をみがく」のような)を1つ1ついかにクリアしていくか、そうすればどのように変わっていくのか、それがいかにして成功に近づいていく道なのかを説いていく。

さらに、ガネーシャが成功の秘訣を主人公に教えるとき、「もし自分が変われるとしたら、行動して、経験した時や、その時だけやで。」分かったとうなずく「僕」に、しかし「じゃあ自分は今何してる?自分は今、『座ってる』だけや。知識を頭に入れるだけでは人間は絶対に変われへん。人間が変われるのは、『立って、何かをした時だけ』や。」と実際に動くことが必要だと説いています。

後の方には「やらずに後悔していることを今日から始める」という課題がでて、「今まで無理やったらこれからも無理や。今踏み出さんと、できへんまま死んでいくで。」と言われ、後悔したまま死ぬなんて、と主人公は背筋が凍る思いがする。やらないことを後悔したまま死ぬ人もいるだろう、しかし「僕」はそうはなりたくないと強く思っています。

さらに一歩過去の偉人の実例を伴って、踏み込んでいる

上記の本作の部分から「人は変われるのだ。」という信念ではなく、「ひたすらの実行力」がいかに大切かということが人生においていかに重要かを、学ぶことができます。

本作は全ての老若男女に対して一度は読んで欲しい内容の本だと思います。
書店でこのような本を手に取る方はほとんどの方が、過去にこの類のビジネス本を手にとってその中の啓示に感銘を受けた経験をお持ちのことと思います。

しかし、その教えを実践に移せないでいたり、実践に移してはみたものの長続きしないなどといった経験をお持ちの方は多いと思います。

そんな経験に嫌気が指している方や、あるいは初めてビジネス本を手に取る方にとって本作は小説風に執筆されているため、読みやすいのでビジネス本の中でもとっかかりやすいので気分転換の読書に最適だと思います。

一般的なビジネス本ですと、成功の法則を羅列し「ではがんばりましょう!」という形で終わってしまいますが、本作では、さらに一歩過去の偉人の実例を伴って、踏み込んでいるのがこの本の素晴らしい点です。この本を読んだ読者は我に返り、改めて自分が本当に変わりたいのか考え直すきっかけを得られると思います。

夢をかなえるゾウ 文庫版

夢をかなえるゾウ 文庫版