ビジネス本・金融本感想文

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戦略思考トレーニング 鈴木貴博

経営コンサルティング会社である百年コンサルティング社の鈴木貴博さんが書いた本です。経営戦略を立案し遂行するのは現代のビジネスマンの常識とはいえ、この能力は個人差が大きく、それが企業全体の戦略、そして業績の差となって現れてきます。

いい戦略を立てること、いい戦略を決定すること、そのためには、いい戦略思考力が必要です。

この「戦略」という言葉、最近はビジネスマンであればあまり知らない人はいないとは思います。

でも、実際に、戦略を立てるには思考力を鍛えられていない方が多いのが現状です。著者は、複数の経営コンサルティング会社での実績を経て、外資系コンサルティングファームに匹敵した経営コンサルティングを行うことで有名な方ですが、特に競合戦略に長けていらっしゃったそうです。

その実績や経験、そしてコンサルティング会社で学び実践した手法を元に、様々な事象に対して、考えさせられる内容になっております。

本書の特徴は、読みやすさも考慮されていると思われますが、クイズ形式になっております。それぞれのクイズにテーマがあり、一度は考えさせ、その後で解説や背景、考え方を記しています。

選択式など安易に選ばせるものではなく、言ってしまえば記述式で書くような形で解答する必要があります。いくつかのクイズはヒントもありますが、自分が得ている知識や見聞も織り交ぜながら解答していくことで、戦略的に考えるために何が必要かが少しずつではありますが得られるようになっています。

それに必要なのは、1つは常識を超える力。つまり固定観念にとらわれないことです。もう1つは論理的思考力です。3つめに、柔軟な発想力。4つめに、たくさんの事例を新聞やニュース、本などを通じて持っているということです。

そして、これらをフルに活用し、かつ、少しずつクイズを進めることによって、戦略思考のトレーニングができるようになっています。

クイズの終わりには、新しいビジネスアイデアにつながる題材も使われていて、それにつながる訓練ができるようになっています。

戦略的思考を身に着けるための武器がわかる

この本で役に立つのは、まさにクイズを解き進めることによって、戦略的思考を身に着けるためにどのような武器が必要かを理解することができることです。

例えば「売上増の方程式の章」。

売上は何によって発生するかという要素を元に、その現象を解明し、戦略的な意味を知る。売上=単価×販売数量。販売数量は何か?使用頻度×使用量。という風にすれば、調味料メーカーは蓋の穴を大きくすることで売上げを伸ばした、という事象を説明できる。

AKB48が、CDが売れない時代にミリオンセラーを達成できるのが。これは握手会参加券を何枚も欲しくてファンが何枚もCDを買うからですが、それは販売数量=握手会参加券の数だからです。昔で言えば、仮面ライダースナックを、中にはいっているおまけを欲しいがために何個も買うに近い原理の応用です。

また、この章では競合に関しても述べています。例えば、牛丼の消耗戦に見える値下げ。競合すべてが値段を下げて消耗戦をやっていると思いきや、値段を他の競争相手をターゲットにしていて、そこから業界挙げて客をファーストフードなどから奪い、奪ったら値段を元に戻すということをやっています。

誰をターゲットにして誰と競合するかという視点で勉強になります。また、例えば、「だいたいの大きさを推定するの章」。

参入するかどうかは市場規模が重要ですが、新しい製品など調査が出来ないものについても、その特徴から、だいたいの規模を算出することができるということです。現代は、数年前まで流行ったサービスやモノがすぐ廃れてしまう時代です。常に新しいモノやサービスを考え出してメッセージを発信していく必要があります。

これは、第二次世界大戦で原爆の研究をしていたときに、著名な物理学者フェルミがその爆破規模を算定する際に使った手法が発展したもので「フェルミ推定」と呼ばれますが、これを用いてある程度の見通しを立てることができるということを学べます。

これは経験ないことをどうやって進めるかという点で役に立ちました。

戦略思考を必要とするすべての人に読んで欲しい

この本は、戦略思考を必要としながらどこから手を付けたらいいかわからない人に一番に読んで欲しいです。

戦略思考といえば聞こえはいいですが、実際はそれを成立させるための努力の連続だと思います。固定観念にとらわれず、柔軟に論理的思考を行い、事例をたくさん知っていることは、一朝一夕ではできないと思います。

会社の中で経営企画やサービス企画を担当することになると、一瞬花形ともいえなくはないですが、周囲の羨望の中、相当の努力をして戦略を立案し実行できないと、ただの飾りです。

そういうプレッシャーと戦いつつ、力をつけていきたいビジネスマンにとっては、入り口が出来るだけでも大きいと思います。

また、戦略思考は、何も経営コンサルティングや企画のものだけではないです。日常でも色んな問題がまつわります。

でも、こういう基本的な考え方をもって問題を整理できるだけでも、達成感がありますし、なにより周囲のまなざしも違ってくると思います。できればビジネスマンに限らず、学生さんでも主婦の方でも、何か問題にぶち当たっている人にお勧めかもしれません。

戦略思考トレーニング (日経文庫)

戦略思考トレーニング (日経文庫)