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小さな会社・儲けのルール―ランチェスター経営7つの成功戦略 竹田陽一・栢野克己

福岡大学卒業後、建材メーカー、(株)東京商工リサーチを経て、83年ランチェスター経営を創業。以降、従業員100人以下の中小企業経営者に向けた専門コンサルタントとして活躍。

出版自体は少し古いのですが、今年の初めに友人に紹介されて読んでみた所、今までに読んだビジネス書の中で1番と言っていいほど実践的で役に立つ内容が書かれていました。

基本的な内容としては、中小零細企業の経営はどうしたら上手く行くのか?また失敗した方に共通する戦略的ミスとは何なのか?など、自身で事業を立ち上げた起業家向けの内容です。

著者は東京商工リサーチ出身で経営者の竹田陽一さんという方です。

竹田さんの経営する会社の事業内容は従業員100人以下の中小企業経営者に特化したコンサルティング業という事で、本書を執筆するに当たってのバックボーンとしては十分過ぎる程の経験・経歴をお持ちの方です。

中小零細企業に必要な基本戦略として、戦争を統計・数学という観点から解析して作られたランチェスター戦略を当てはめて考える事が最適であるというのが本書の軸になっています。

ランチェスター戦略とは弱者が強者に勝つための戦略であり、ビジネスの世界に置き換えた時には弱者が生き残るため、または強者相手でもシェアを獲得するための戦略として有名です。

このテーマについて様々な方が書籍を出版なさっているのですが、中でも最も分かりやすく、身になる内容に思えました。
その理由として、実際にランチェスター戦略を採用して成功した起業家の事例・優秀な成績を上げた営業マンの事例などを事細かに紹介している点が挙げられます。

ランチェスター戦略は前述した通り数学的・統計的理論を根本としているので、普通に説明しようとしても上手く表現する事が難しい戦略です。

著者がそれを噛み砕き、何かに置き換えた話や実例などを持ち出す事で、ここまで分かりやすくなるのだなと感銘を受けました。

また、ランチェスター戦略と真逆の行動をしてしまって失敗した事例もリアルに書かれており、経営者として気を抜いてはいけないのだと身を引き締めてくれる一面もあります。
ランチェスター戦略の理解・実践のための書籍として、最もお勧めな一冊です。

ランチェスター戦略の実践事例を解説

書籍が直接役立った点としては、やはりランチェスター戦略の実践事例を解説している事です。

特に面白かったのが、成功している家業を受け継ぐ事を拒否し、僅かばかりの貯金と1台の中古車を基にたこ焼き屋を始めた方のエピソードでした。(もちろん実話です。)
自動車を屋台として販売するたこ焼き屋、どう考えても大手が参入してくる事の無い、それでいてついつい買ってしまう魅力ある商品。

自身の経歴・学歴は大手企業の中などでは大した事がないけれど、路上販売のたこ焼き業界ではぶっちぎりのナンバーワン。

清潔感の無い同業者に対して制服を作り高レベルの接客マナーを徹底し、差別化を図る。

こうした戦略を経て大成功した事例として紹介されているのですが、その様子を「鶏口となるも牛後となるなかれ」と表現しています。

つまり小さな鶏のクチバシにこそなるべきであり、大きな牛のお尻には位置するなという意味です。

私は小さいながらも自身で事業を行っているのですが、とにかくこの1年間はこの教えを守って戦略を見直しました。

自身の商品や広告が上手く行かない時は、必ず同じシェアを狙う他者がいるのだと強く意識するようになりました。

その数が多い程、商品も広告も更なる高いレベルを求められてしまい、場面によっては大手と比べられてしまう状況に陥ってしまいます。
こうなっては弱者である自身は勝ち目がありません。

ですのでまだ誰も手をつけていない仕組みや方法に目を向け、チャンスが無いかをじっくりと模索する事により多くの時間を使うようになりました。

実際にそれをきっかけとして新たなサービスを開始した所、お客さんの絶対数は少ないものの安定して売上の上がる仕組みを見出す事が出来ました。

大袈裟でなく、本当に実践的で即活用出来るノウハウが詰め込まれているのです。
たこ焼き屋の他にもライバルの全くいない地域ナンバーワンとなった生命保険のセールスマン...といってもこちらはなんと年配の女性。

さらには深夜帯の業種に特化した人材派遣業を興した方の事例など。
とにかく弱者が生き残り、また強者からシェアを獲得するための事例が数多く紹介されており、読んでいるだけで面白く・戦略としても頭に入ってきやすい文句無しの良書です。

強者がいかに強いか、自分がいかに弱い立場であるか

これから起業しようと考えている方・営業マンの方・事業が伸び悩んでいる方など、ご自身の考える戦略がそのまま結果に直結する立場で仕事をされている方には必須の一冊に思えます。

竹田陽一さんが著書内で「事業が上手くいかず転落してしまった方々がもしこの戦略を知っていれば、多くの不幸を減らせたかもしれない」とおっしゃっているのですが、まさにその通りに思えます。

強者がいかに強いか、自分がいかに弱い立場であるかをしっかり理解してスタートアップする事で、結果は全く違ったものになるはずです。

さらに、現在の状況に悩んでしまっている方にとっては、180度の方向転換まで考えられるような視野の広がりを与えてくれる可能性があります。

また、実はこの戦略は恋愛やスポーツなどありとあらゆる場面にも活用が可能なのです。

そう考えますと人生をより良くしたい方にお勧めで、単なるビジネス書として捉えず、書かれている内容のエッセンスというか、根本的な考え方をこそ吸収して頂きたいです。

知っていると知らないとでは大きな差が生まれると実感しておりますので、ご興味を持って下さる方が多ければ幸いと思えます。

小さな会社・儲けのルール―ランチェスター経営7つの成功戦略

小さな会社・儲けのルール―ランチェスター経営7つの成功戦略